欧州美味いもの巡り

欧州美味いもの巡り

欧州、主にイタリア、スペインの美味しいレストランの記録。Nikon Z6片手に旅行しています。

ベネチアのおすすめレストラン

訪れたのは肌寒い3月。これがイタリア初上陸で、本場のパスタにとても感動した3日間であった。ただ、その後4か月でイタリア6都市を訪問し数十件のレストランでパスタを食べた今振り返ると、若干思い出補正というか、初体験補正が入っているかもしれない。

 

よくベネチアは観光都市だからごはんがおいしくないと聞くが、そんなに悪くない。いくつか非常にレストランに巡り合うこともできた。あまりにも美しい街並みと美味しいごはんを満喫し、心から満足いく旅になった。

 

【Trattoria Alla Fontana】

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g187870-d1088045-Reviews-Trattoria_Alla_Fontana-Venice_Veneto.html

食べ物:★★★★☆

雰囲気: ★★★★☆

サービス: ★★★★☆

価格帯:中

総合評価: ★★★★☆

 

ローマ広場からほど近い運河沿いにあるレストラン。席数が少ないため予約は必須。

我々は早めのランチに赴き、運河沿いのテラス席でいただいた。

メニューは少なめ。パスタは3種類ほどしかなかった。一説によればメニューの少ない店は、その日、その週の良い食材を元にメニューを考案しているため、美味しい店が多くなるとのこと(要検証)。

どうやら名物のシーフードパスタは常にある模様。我々はシーフードパスタとアーティチョークパスタをチョイス。

シーフードパスタは魚介の旨味にトマトペーストが絡んで絶品。若干辛味があるのがまた癖になる。麺はやや太く縮れているタイプで、素晴らしいアルデンテ具合。

 
 
 
 

アーティチョークパスタはクリームベース。アーティチョークの若干の苦みとナッツの香ばしさが絶妙なマッチ。麺はタリアッテレ。クリームパスタ特有の若干のくどさがあったものの、総合的には超美味。

 
 
 
 

極めつけはデザートのティラミス。美味しくないティラミスはどうしてもクリームがメインになりがちだが、ここのティラミスはスポンジの食感がまずズシンとくる。このスポンジには薄く、ちょっと焦がした感じのキャラメルのコーティングがしてあり、スポンジだけ食べていても美味しい。上のクリームは黄色の、恐らく卵をベースにしたクリームで、ホイップクリームのような脂っこさとべちゃっとした感じがなく、クリームそのものの味を堪能できるような重さのあるもの。スポンジもクリームも味がしっかりしているものの、全体的には甘さが抑えられており、食べていて気持ち悪くなる感じが全然なかった。

オーナーらしきおじさんに、「こんなティラミスは食べたことない!」と絶賛していると、良ければもう一皿サービスでやるよと気前の良いひとこと・・・さすがにもう一皿は無理だったので断ったが、後日どうしてももう一度食べたくなり、最終日にこのティラミスだけ食べに再訪した。

 
 
 
 

もう一つ、ここは非常にサービスが良かった。オーナーらしきおじさんはフレンドリーだし、若いスタッフもてきぱきと仕事をしていて、非常に好印象だった。ベネチアは観光客でごった返している分、人気店は態度が悪くなりがち(行ってないけど、有名なトラットリアポンティーニに電話したときなんか怒鳴られてしまい衝撃だった)。ここはテーブル数が少なく、自分たちがしっかりサービスできる人数しか受け入れないという意思が感じられる。

難点を言えばやや高かったこと。シーフードパスタは20ユーロくらいだった記憶あり。ベネチアは観光地なので、パスタ一皿15ユーロくらいは普通だが、そっから若干プレミアムが乗っている感じ。ただ、食べ物のクオリティを考えれば全然許せるレベル。

 
 

【Taverna Scalinetto】

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g187870-d1320374-Reviews-Taverna_Scalinetto-Venice_Veneto.html

食べ物:★★★★☆

雰囲気: ★★★★☆

サービス: ★★★☆☆

価格帯:中

総合評価: ★★★★☆

 

中心地からはやや離れたところにあるレストラン。地元の人と観光客は半々くらいの印象。

当初は我々のレーダーに入っていなかったが、行きたかったレストランの予約ができていなかったことが分かり、急遽予約したお店。直前だし微妙かもなーと心配していたが、行ってみたらすごく良いお店だった。

お店の内装はなかなか凝っていて素敵。

 
 
 
 
 

オーダーしたのはカラマリのフリット、シーフードパスタ、イカ墨パスタ。

 
 
 
 

カラマリは比較的量多め。二人で食べきるには難しかった。当然揚げたてで美味しい。

シーフードパスタは結構味濃いめ。トマトのベースがしっかりしていて非常に美味しかったが、後日ナポリで食べたシーフードパスタなんかに比べると若干塩気が魚介の旨味を上回るイメージ。

 
 
 
 

イカ墨パスタはイカたっぷり。こちらの味付けはナチュラルで優しい感じ。日本で食べるイカ墨パスタはどうしも味の素っぽいというか、無理やり旨味を足したような味付けが多いが、これは極めて自然な感じ(日本のイカ墨に慣れている自分としてはもう少しパンチが欲しい、、、と思ってしまうのだが)。

 
 
 
 

店員さんのサービスは普通。特段フレンドリーでもなければ感じが悪いわけでもない。必要最低限な感じ。

総合的にはなかなか良いお店だったと思う。次ベネチアきたら再訪したレベル!

 

【Osteria da Alberto】

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g187870-d1059055-Reviews-Osteria_da_Alberto-Venice_Veneto.html

食べ物:★★★★☆

雰囲気: ★★★☆☆

サービス: ★★★☆☆

価格帯:中

総合評価: ★★★☆☆

 

ランチで訪問。日本の各ブログに掲載されている店。

入り口はバーカウンターがありチケッティが並んでいる。12:00オープンの5分前につくと、「12:00からだけど座ってまってていいよ」と言われ奥に行くと既に日本人女性二人組の先客がいた。その後も日本人カップルが来店し、13:00くらいまでは日本人三組だけというあまりイタリア感がない空間に。ただし、春休み中で日本人観光客が多い時期ではあった。

まずは前菜の盛り合わせを注文。

 
 
 
 
 

タコとエビのグリル、タコと玉ねぎのマリネ、アンチョビ、ポレンタ(トウモロコシのケーキみたいなもの)。全般特に感動はなくまあまあという印象。タコのマリネはセロリの味がきつくてやや苦手だった。

パスタは手長エビのトマトパスタ。

 
 
 
 

写真は半人前。一人前を頼んで二皿に分けてもらった。半人前でもそこそこの量。

味はエビのダシが良く効いていて、甘みがあっておいしい。パスタもアルデンテ。全体的にスタンダードにまとまっていてうまい、という感じ。シンプルにトマトの甘みとエビの香りを楽しめてよかった。

Trip Advisorのレビューには、サービスが悪いとか、東洋人に冷たいといったレビューがあるが、サービスはいたって普通。特段嫌がられることもなかった。日本人もたくさん来ているみたいだし、歓迎してくれているかは別として、むしろ東洋人には慣れているほうなのでは、という印象。

 
 

【Trattoria al Gazzettino】

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g187870-d1510422-Reviews-Trattoria_Al_Gazzettino-Venice_Veneto.html

食べ物:★★★☆☆

雰囲気: ★★★☆☆

サービス: ★★☆☆☆

価格帯:中

総合評価: ★★★☆☆

ランチで訪問。遅めの時間に行ったが少し待った。待ってる間には、飲み物と小皿のペペロンチーノをくれる。 ここの特徴を一言であげるならせわしない。料理は総合的にみてまあまあ美味しかったが、店員は不愛想であわただしく、ゆっくり落ち着いて食事できる雰囲気でないのが残念。ワイワイガヤガヤやるのがトラットリア、といえばそうかもしれないが、残念ながらフレンドリーさがないため単に雑に扱われている気がするだけ。

このお店は写真は撮り忘れてしまった。確かイワシの前菜をサービスで出してくれた。メインはカニのパスタ(トリップアドバイザーに写真あり。カニの甲羅がついているパスタ)をチョイス。麺はリングイネで食べ応えあり。カニのエキスがたっぷりで美味しかったが、残念なことに結構味の強いパセリがたくさんまぶしてあり、カニの味を邪魔していた。パセリは是非抜いてもらいところであった・・・。

 

Ristorante Regina Sconta

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g187870-d16856998-Reviews-Ristorante_Regina_Sconta-Venice_Veneto.html

食べ物:★★★☆☆

雰囲気: ★★★☆☆

サービス: ★★★☆☆

価格:中(飲み物込み二人で~60ユーロ程度)

総合評価: ★★★☆☆

 

口述の超がっかりレストランの口直しに立ち寄った店。オーダーストップギリギリだったが、何とか入れてもらえた。

 

牛肉ラグーソースパッパルデッレと、トリュフのタリアッテレを注文。

 
 
 
 

パッパルデッレはほぐした牛肉がふんだんに使われていて、味も濃いめ。

 
 

一方でトリュフのパスタのほうは、さすがにこれだけトリュフがのっかってるだけあって香りがよいものの、卵ベースクリームソースの味付けが非常に薄く、全体的にはいまいち。トリュフの香りを楽しむには良いかもしれないが、これだけの量をトリュフの香りだけで食べきるのは結構難しい。ラグーのほうはわりとしょっぱかっただけに、こちらももう少し濃いめの味付けにしていただきたかった。

 

超狭い裏路地に位置しており、穴場的な雰囲気。店の内装は凝っていて素敵。ほかにいくところがなければ無難なチョイスといえるかも。

 

【番外:Ristorante san Silvestro】

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g187870-d15644399-Reviews-or10-Ristorante_San_Silvestro-Venice_Veneto.html

食べ物:★☆☆☆☆

雰囲気: ★★★☆☆

サービス: ★★☆☆☆

価格帯:中

総合評価: ★☆☆☆☆

 

TripAdvisorランキングでベネチア一位の店。期待して行ったのだがあまりにもひどかったため、記録に残したい。

予約時間通りにつくと、まず店員があわただしく動き回っていて、こちらに気を使える余裕が全くない。ようやく席に通してもらっても、とにかく定員が忙しすぎてオーダー取るのにも時間がかかる。この時点で嫌な予感がした。

前菜はカルパッチョの盛り合わせ。

 
 
 
 

生エビ、牡蠣、マグロのぶつ切りのコンビネーション。どれも一切新鮮さに欠けた。マグロもパサパサだし、牡蠣に至っては後日あたってしまった・・・。これでお値段は20ユーロ越えていたと記憶している。全然値段に見合わない。

パスタはペペロンチーノとエビのトマトパスタ。出てきたのがこれ。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

まず両方とも塩気が足りない。ペペロンチーノに至っては完全に無味。恐らくオリーブオイルとニンニクにパスタを絡めただけ。塩を一切使っていない。全くの無味で食べられなかった。後から思い返してみれば、確かClamのペペロンチーノをオーダーしたはずであったが、具は一切入っていなかった。

 

エビのパスタも、塩気もなければエビの香りもなし。ちゃんとエビのエキスを取った形跡がなかった。もう麺がアルデンテかとかそういう次元ではなし。

 

恐らく、というか当然ながら、これは本来のこの店の味ではなく何等かのオペレーションのミスでとんでもない料理が提供されてしまった、ということに違いはない。しかし、どんなに忙しくても、どんなにオペレーションがまわってなくても、こんな料理を客に出す店はどうかしているし、サーブするときに見た目からしておかしいなと思わない店員もひどい。

 

フロアでサーブしていたのは、お店を切り盛りするおじさん兄弟と、大学生くらいの若いお兄さん。途中で兄弟のほうに話して取り換えてもらえばよかったのだが、あまりの味に気が動転していたのと、兄弟がドタバタしている状況の中で取り換えてもらうのもストレスだったので、ここは忘れて口直しにもう一軒いくことにし、何も言わず若いお兄さんに下げてもらった。

 

こんな料理を出すことは店側としても本位でなかったと思うし、何とか兄弟のほうを捕まえて文句を言ったほうが我々にとっても、お店にとっても良かったと後悔している。

 

すべては、客を取りすぎてオペレーションがパンクしていることに起因していると思う。もともとはもっと小さなお店だったのだろう。これがTripAdvisorで一位になったことであれよあれよと客が押し寄せ、歯車が狂ってしまった、と想像する。

 

イタリア、スペイン、フランスをはじめ、短期間で星付きを含む多くのレストランを回って思うのが、店員のサービスレベルと味のレベルに比例関係があるということ。店員が、お客さん一人ひとりに目を配り、質の高いサービスで満足してもらおうと努力しているお店は、料理にも気合が入る。

 

そういうようなお店の特徴として、①席数が少ない(~10テーブル以下)、②フロアを仕切るマスター的な店員がいる、ことがあるように思う。そういったお店はお客さんも多く取らないので必然的にレビューの件数も少なくなる(TripAdvisorで数千件のレビューを得ているお店はどんなにレーティングが良くてもいまいちな可能性が高いと思っている。ただしこのSan Silvestroはレビューの数もそんなに多くないので例外的)。東京でいえば、広尾のイタリアン「ブラチェリーアロトンド」、月島駅前のスパニッシュ「ラ ヴィーニャ」なんかがそう。どちらも最高にうまいお店だが、名物店主がお客さんとよくコミュニケーションを取り、気持ちのいいサービスを提供してくれる。どちらも食べログ評価数は10件そこそこしかない。

 

もう一つあるのは、サービスがよくないと総合的に満足しない、ということ。当たり前といえば当たり前だが、どんなに料理が美味しくても、サービスが悪いと総合的な満足感は低くなる。味はいまいちでもサービスが良いお店のほうが最終的には満足度で勝るかもとさえ思う。

 

話が脱線したが、観光客が押し寄せるTripAdvisor上位のお店や何千件もレビューがあるようなお店はそういったきめ細かいサービスを提供するのが難しく、従って味も微妙、総合的な満足度も微妙、という結果に終わる可能性がまま高い気がしている。

ある意味、勉強になったお店だった。